はい、colorful beansです。
さぁ、今回の記事はまたまた量子の正解、かなり複雑かつ不思議な正解に没入しますので、最後までついてきてくださいね。
オズマ問題とは?
オズマ問題とは、素粒子物理学における、解決済みの難問のひとつであり、物理法則を用いて「左右」を説明することができるかどうかという問題です。 具体的には、「普遍的な物理現象として、現象や法則や物質において左右非対称性は存在するのか」という問題があります。
この問題は、異星人に左右を正しく伝えることができるかどうかという問題とほぼ同義であるため、アメリカの科学ジャーナリストであるマーティン・ガードナーによって、「オズマ問題」と名づけられました。
表や図のような視覚的なものを使わず、言語だけで異星人に左右を正しく伝えることが可能なのか?ということですが、左右の概念も人類が考えた定義であり、異星人がどこまで理解できるのか?
そこでいろいろな思考が巡らされた訳ですが、この地球上では人や動物など左右対象なものが割りと多いということがわかります。
そこで粒子などの非常に小さな世界で説明ができるのかというとなかなかに難しい状況です。
ここで分かりやすい上下の定義を考えると、地球やその他の惑星でも重力がありと、惑星の核に向かって重力が働くので、惑星の中心に向かう方向が下であると説明ができるそうですね。
これが「自然法則」と言われます。
地球でもその他の惑星でも同じもの、同じように作用したり起きる現象のことですね。
では、左右についての話に戻りましょう。
自然界に左右を明確に伝えられるものは何かないのか?
重力や電磁気力、強い力(核力)なども説明できなのですが、この電磁気力の中で電流と磁場では左右を区別しており説明が可能であることがわかりました。
その為には磁場の中でのN極とS極を明確に伝えれれることが求められます。
その実験が【ウーの実験】です。
ウーの実験
1956年に物理学者Chien-Shiung Wu(吴健雄、ウー・チエンシーン)が行った実験で、強い証拠としてパリティ(空間反転対称性)の破れを実験的に証明したものです。この実験は、素粒子物理学における重要な出来事で、彼女はその後、物理学における重要な役割を果たしました。
ウーの実験は、パリティ(左右対称性)が一部の物理法則に適用されないことを示すものでした。この実験の背後には、物理学者Lee and Yangが1957年に提案した弱い相互作用におけるパリティの破れに関する理論があります。彼らは、ベータ崩壊(中性子から陽子への変化など)がパリティ非保存過程であると提案し、その後、ウーの実験でこれが実験的に確認されました。
ウーの実験の要点:
- セシウム-137の核スピン: ウーの実験では、コバルト60という原子核を用いました。この核はスピン角運動量を持っており、電子の運動量に対して特定の方向を示す性質がありました。
これによりスピンの方向で左右を正確に伝えることが可能である。 - ベータ崩壊: ベータ崩壊とは、原子核の放射性崩壊の一種で、放射線としてベータ線(電子)と反電子ニュートリノとを放出する現象です。中性子が陽子に変化する過程においては電子が放出され、この放出される電子のことをベータ線(β線)と呼びます。 ベータ崩壊には、β−崩壊(中性子から陽子への変化に関連しています)、β+崩壊(陽子から中性子への変化に関連しています)、電子捕獲(軌道電子を原子核に取り込みます)などが含まれます。 いずれのモードで崩壊しても、質量数は変化せず、同重体を推移する現象であることが知られています。
- 実験の結果: ウーの実験では、コバルト60のベータ崩壊の時に電子の飛び出す方向に偏りがあることがわかりました。
磁場の中でコバルト60がベータ崩壊したときに多くの電子が飛び出す方がS極であることが判明し、その逆の一方がN極であるといことになります。
これにより、異星人にS極とN極を理解してもらった上で、電流と磁場の向き使って右と左を区別し伝えられることが可能であるということになり、オズマ問題は解決したということになります。
*このウーの実験単体でも右と左を区別することは可能で、電流や磁場を用いなくても可能である
それは、コバルト原子のスピンを揃える為に磁場をかけている、原子がスピンしているとことに磁場をかけると磁気モーメントが揃えることができる、この状況になるとS極とN極が逆でも電子が飛び出しやすいスピンの向きの逆から見たときのスピンの回転方向が左という表現が可能であるということです。
ちょっとざっくりすぎるかもしれないけど、、、これくらいの説明で勘弁をwww
パリティ対称性の破れ
さぁようやくパリティ対称性の破れにはいります。
これまでの記事の内容はこの前座ともいうべき内容だった訳です。
ウーの実験で示された、スピンの方向と電子の飛び出す方向、そしてスピンの向きのが逆から見たときのスピンの回転方向が左という表現が可能という結果ですが、さぁこれが鏡の世界ではどうなるか?
【ウーの実験の図】
【この実験を鏡に移した場合】
この鏡の世界で起きている現象が「パリティ対称性の破れ」となる訳ですね。
現実世界では、図の左側のようにスピンの角運動の向きの逆の方向へ電子が飛び出しやすいのだけど、
鏡の世界では、現実正解と反転しているので、スピンの角運動の向きが逆(上)になる。
ということは、現実正解の理論では電子の飛び出しやし方向は下になるはずなんです。
しかし、鏡の世界では右側の図のように電子が飛び出しやすい方向も上になっているのです!
この結果から、鏡の世界では自然法則が変わっていることになるんです!!
この現象を「パリティ対称性の破れ」と呼んでいます。
この結果によって
ベータ崩壊を起こす力というのは、弱い力と呼ばれている力ですが、
自然界には4つの力があって、重力、電磁気力、強い力の3つは左右対称だったのだけど、ベータ崩壊を起こす弱い力だけは左右対称ではなかったということが分かったんですね。
弱い力というのは非常に根源的な力であるから、自然界では左右を区別しているということが分かったのです!
そして、鏡に写した世界はこの世界(現実世界)とは違うということも分かったんですね!!!
我々の生きる世界はなんとも不思議で神秘的な世界で、まだまだ謎に包まれている世界といえますよね。
後書き
新たな視点と理解の扉を開く
このブログ記事では、パリティ対称性の破れに関する興味深いトピックを探求し、物理学と宇宙の不思議な世界に一歩近づいたことでしょう。ウーの実験がどのようにしてパリティ対称性の破れを証明したかを理解し、その発見が物理学の発展に与えた影響を考察しました。
鏡の中の世界と現実世界についての比喩は、パリティの概念がいかに重要かを示すものでした。私たちの日常生活では左右対称性が当たり前のように感じられますが、物理学の世界ではこの対称性が破れることがあり、その結果、新たな現象や法則が発見されます。
科学は常に進化しており、私たちの理解を深めるために新たな問題を投げかけています。パリティ対称性の破れは、その一例であり、私たちの宇宙における役割や存在についての新たな洞察をもたらします。私たちの好奇心と疑問が、新たな発見を導く旅の一部です。
この記事を通じて、パリティ対称性の破れという複雑なテーマに触れ、理解を深めていただければ幸いです。科学は未知の世界へのドアを開き、私たちの視野を広げ、新しい問いを投げかけ続けます。その旅路に共に歩むことは、私たちの好奇心と知識を豊かにするものです。
どうぞ、これからも科学と知識に対する探求心を忘れず、新たな発見と洞察を追求し続けてください。未来に向けて、新たな可能性が広がっています。
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