はい、colorful beansです。
今回の記事では「半導体」とイオン注入機について学んでいきたいと思います。
ロシアのウクライナ侵攻の影響やコロナ禍での移動の制限などで、いろいろな物が移動できない、輸入できないということが起きました。
その中で「半導体不足」というのが様々業界で悪影響をもたらし、経済を停滞させる要因ともなりました。
日本の一番の産業である自動車産業でも、部品が入荷しないなど非常に大きな影響がでましたし、
中小企業でも(筆者の会社でも)設備が故障し、その修繕に必要な部品が入荷しない、いつになるか分からない、そして値段はかなりの高騰となりました。
これまでの日常で言語や単語としての半導体は知っていましたが、より身近に具体的な影響として体験・感じることとなりました。
そこで、半導体とは何か?
半導体事業に必要不可欠ともいえると思うのですが、イオン注入機について調べていきます。
半導体とは?
半導体とは、金属などの導体と、ゴムなどの絶縁体の中間の抵抗率を持つ物質です。
半導体は、不純物の導入や熱や光・磁場・電圧・電流・放射線などの影響で、その導電性が顕著に変わる性質を持ちます。
この性質を利用して、トランジスタなどの半導体素子に利用されています。半導体は、私たちの社会に大きな影響を与えており、コンピュータや電波を使うものはすべて半導体に依存しています。多くの産業が半導体無しには成り立たちません。
半導体は、物質です。
物質には電気を通す「導体」と、電気を通さない「絶縁体」とがあり、半導体はその中間の性質を備えた物質です。半導体は、電気伝導性の良い金属などの導体(良導体)と、電気抵抗率の大きい絶縁体(不導体)の中間的な抵抗率をもつ物質である。代表的なものとしては元素半導体のケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、化合物半導体のヒ化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)などがあります。
単体の元素(例: ケイ素)や化合物(例: ガリウムアーセニド)から作られ、その特性によってさまざまな電子機器や電子回路の基本素材として使用されます。
半導体は、私たちの日常生活において、多くの製品に使用されています。
例えば、エアコンには温度センサーが使われていますが、そのセンサーは半導体で出来ています。
炊飯器がおいしくご飯を炊けるのも半導体で火力をきめ細かく制御しているからです。
パソコンを動かす CPU も半導体です。その他、携帯電話/スマートフォン、デジタルカメラ、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、 LED 電球など、さまざまなデジタル家電製品に半導体は使われています。
社会インフラも半導体に支えられており、銀行のATMや電車の運行、インターネット通信などにも半導体が使用されています。
半導体の製造方法
半導体の製造方法は複雑ですが、主に「設計」「前工程」「後工程」の3つの工程に分けられます。まず、配線回路の設計を行い、次に設計通りの電子回路をウェーハ表面に形成する前工程、そして、チップへ切り取って組み込んでいく後工程というフローを経て完成します。
基本的な手順を簡単に説明します。
- シリコンウェハーの製造: 前工程では、シリコンウェーハ上に電子回路を高集積で形成していきます。
まずはシリコンウェーハ上へ配線やトランジスタなどになる薄膜層を形成します。
シリコンウェーハーとは、高純度な珪素(シリコン)のウェーハーである。シリコンウェーハーは、珪素のインゴットを厚さ1 mm程度に切断して作られる。シリコンウェーハーは集積回路(IC、またはLSI)の製造に最も多く使用される。このウェーハーにアクセプターやドナーとなる不純物導入や絶縁膜形成、配線形成をすることにより半導体素子を形成することができる。 - フォトリソグラフィ: フォトリソグラフィ技術を使って、微細なパターンをウェハーに転写します。光を当ててマスクパターンを転写し、エッチングなどのプロセスでパターンを形成します。
この工程により、露光された部分と露光されていない部分からなるパターンが生成されます。この技術は、集積回路、プリント基板、印刷版、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネルなどの製造に用いられます。 - ドーパント: ウェハー表面に微量不純物を追加するプロセスです。
半導体の物性を変化させるために、少量の不純物を添加する工程です。半導体においては、電子や正孔(キャリア)の濃度を調整する他、禁制帯幅などのバンド構造や物理的特性などを様々に制御するために用いられます。添加する不純物をドーパントと呼びます。半導体の場合、キャリアとして電子を供給するドーパントをドナー、正孔を供給するドーパントをアクセプタと呼びます。
シリコンウェハーの表面に「ドーパント(不純物イオン)」を添加して熱処理を施します。
主な添加物は、ボロン(B)、リン(P)、ヒ素(As)です。ドーパントによって自由電子または正孔のキャリアを作り、電気を通しやすくします。ドーピング後は各加工を繰り返して、最後に表面を研磨し電極を生成します。 - エッチング: 半導体製造において、ウェーハ上に設計どおりの寸法・形状の加工が施される工程です。詳しくは下記に別途記します。
- 酸化工程: 半導体製造において、ウェハ表面を保護するために、保護層や絶縁層を形成する工程があります。この工程では、ウェハ表面に薄い膜を蒸着またはカバーします。この膜は、化学的な不純物からウェハを保護し、リーク電流が回路間を流れないようにするものです。また、イオン注入段階における拡散を防止し、エッチング工程中でウェハが誤って除去されないようにします。
- メタルエッチング: 金属層を蒸着して導線を作成し、フォトリソグラフィとエッチングを使用して導線パターンを形成します。
この工程は集積回路(IC)を形成する個々の素子を接続する上で重要な役割を果たします。 - 最終テストと組み立て:製造が完了したウェハーは、各種テストを受けて品質を確認し、必要に応じて切断や組み立てが行われます。
以上が一般的な半導体の製造工程の概要です。
詳細な手順や技術は非常に多岐にわたりますが、この基本的な流れが半導体製造の主要なステップを示しています。
エッチング工程
エッチングとは、半導体製造において、ウェーハ上に設計どおりの寸法・形状の加工が施される工程です。エッチングには大きく「ウェットエッチング」と「ドライエッチング」の2つの種類があります。
ウェットエッチングは、被加工材を酸またはアルカリの溶液に触れさせ、化学反応によって不要部分を除去する方法です。ドライエッチングは高真空プラズマを用いて行うエッチング方法です。被加工物を真空環境でガスをプラズマ化し、イオンをぶつけて削ることでエッチングします。
具体的なエッチングの工程については、CADなどにデータを入力し、レーザプロッターでフィルム感材・ガラス乾板へ描画パターンを作成していきます。チェック後には、整面や脱脂など、レジストの密着度を高めるための処理が行われます。その後、ウェーハ(被加工物)の表面にレジストが付着(塗布)され、露光を開始します。露光転写されたレジストの未露光部からレジストを取り除くと、金属が露出します。
ここからがエッチングです。加工に使うのは、エッチング液の自動制御を行うエッチングマシーンです。この装置によって、レジストにマスキングされていない金属の露出部分を溶解除去し、半導体のパターンを図面の寸法・形状通りに残します。その後、エッチング加工された製品上のレジストを取り除き、洗浄・検査が行われます。
以上が半導体製造におけるエッチングの工程です。
イオン注入
イオン注入段階とは、半導体製造において、イオン化された不純物を固体に注入することによって、その固体の特性を変化させる加工方法です。
この工程は、半導体製造における前工程などで、イオン注入を用いることによって、ウェハに適度な不純物を導入することができ、半導体デバイス特性を向上させることができます。
イオン注入は、イオン源(イオンソース)で発生させた不純物イオンに電磁場をかけて加速し、ウエハー表面に打ち込むことで、拡散層を形成します。この工程は、ドーパント(不純物イオン)を添加する工程と異なります。
ここで、えっ?ってなりませんか?ドーパントの工程と同じ?
シリコンウェハーの表面に「ドーパント(不純物イオン)」を添加して熱処理を施します。
何が違うのでしょうか?
ドーパント(不純物イオン)を添加する工程とイオン注入は異なる工程ですが、両方とも半導体の物性を変化させるために使用されるため、混同されることがあります。
ドーパント(不純物イオン)を添加する工程は、半導体の物性を変化させるために、少量の不純物を添加する工程です。
一方、イオン注入は、イオン化させた不純物元素をウェハ表面から打ち込み、シリコンウェハ内に注入する方法です。これらの工程は異なるものであり、それぞれ異なる目的で使用されます。
イオン注入機の役割
イオン注入機は、半導体製造プロセスの一部として使用される重要な装置です。その主な役割は、半導体デバイス内部に特定の要素を導入(注入)することです。以下にその役割を詳しく説明します。
- ドーパント: イオン注入機は、半導体デバイスの電気的特性を制御するために、微細な量の特定の元素を導入するのに使用されます。このプロセスはドーパントと呼ばれ、不純物を導入することで、半導体の電子やホールの移動を調整し、トランジスタやダイオードなどのデバイスの性能を調整します。
- イオンの導入: イオン注入機は、高エネルギーのイオンを生成し、半導体ウェハーの表面に導入します。これにより、イオンはウェハー内部に留まり、特定の深さまで元素を挿入することができます。これによって細かい領域に特定の電気的特性を持つ領域を作成することができます。
- 絶縁層の形成: イオン注入機は、絶縁層を形成するためにも使用されます。絶縁層は、半導体デバイス内の異なる部分を電気的に分離するために使用されます。特定の元素を導入することで、絶縁層が形成され、デバイスの動作や電気特性が制御されます。
- 硬化処理: イオン注入後、ウェハーは通常、高温処理などのプロセスで硬化されることがあります。これにより、導入されたイオンがウェハー内で適切な位置に配置され、所望のパフォーマンスが達成されます。
以上がイオン注入機についてです。イオン注入機は半導体デバイスの性能や特性を洗練したレベルで制御するために不可欠な装置であり、半導体製造工程の中で重要な役割を担っています。
イオン注入機の製造企業
イオン注入機の製造企業について、私が見つけた情報によると、2023年7月の注目のイオン注入装置関連企業は以下の通りです。
- Applied Materials, Inc.
半導体、TFT LCDディスプレイ、ガラス、WEB、太陽光(結晶質および薄膜)製造業界にサービスを提供する資本設備生産会社です。同社は、世界最大の半導体製造装置メーカーであり、世界24ヵ国、120ヵ所以上に拠点を持つ多国籍企業です。同社は、原子レベルの材料制御を産業規模で実現する専門知識により、お客様が可能性を現実に変えるのを支援しています。また、同社はイノベーションを通じてより良い未来を可能にしています。 - 住友重機械工業株式会社
住友重機械イオンテクノロジー株式会社は、イオン注入装置の開発、製造、販売およびサービスを手がける会社です。同社は、「イオン注入装置」という専門的な分野で世界を変える一端を担う企業であり、現状に甘んずることなく、日々挑戦し続けています1。同社は、最先端の半導体微細加工技術の中でも、特に高度な技術力が要求されるイオン注入技術において、さらなる技術向上のため最先端技術を積極的に活用し、世界を舞台に新たなデファクトスタンダードを生み出し続けています。 - 株式会社アルバック
産業・研究機関向けの真空装置、周辺機器の開発、製造、販売を行う企業です。同社は、半導体デバイス向け高性能イオン注入装置のシリーズを提供しており、低加速・高濃度対応のイオン注入装置SOPHI-30、高エネルギー対応のイオン注入装置SOPHI-400、研究開発用中電流イオン注入装置 IMX-3500、SiC用高温イオン注入装置 IH-860DSIC、中電流型イオン注入装置 SOPHI-200/260などがあります。これらの製品は、半導体デバイスの製造プロセスにおいて重要な役割を果たしています。 - ASML
イオン注入機の製造企業の1つです。ASMLは、オランダに本社を置く半導体製造装置メーカーで、半導体露光装置(ステッパー、フォトリソグラフィ装置)を販売する世界最大の会社です。ASMLは、半導体業界のリーディングサプライヤーであり、チップをより小さく、より速く、より環境にやさしくするためのリソグラフィシステムの革新を推進しています2。ASMLは、半導体産業に不可欠なリソグラフィ装置の販売、据え付け、保守を行ない、ダントツのお客様サポートに力を注いでいます。 - 日新イオン機器株式会社
半導体製造用のイオン注入装置事業を開始した1973年以来、半導体デバイスや液晶あるいは有機EL等のフラットパネル・ディスプレイ(FPD)の主たる製造装置メーカーとして、国内外問わず世界の生産プロセスの基盤を支え続けてきました。同社は、半導体・ディスプレイデバイス向けイオン注入装置技術に集中し、世界におけるトップメーカーとして、装置・技術・サービスを通じ、様々なソリューションを提供する事により「お客様の成功に貢献すること」を自らの誇りと喜びとして事業をおこなっています。
ただし、あくまで参考情報であり、この他にもいくつもの企業があり、世界への貢献をしております。ご紹介した企業様は一部であり、その優劣などを意図したものではありませんので、ご理解ください。
後書き
このブログでは、半導体や製造イオン注入機について詳しく説明しました。これらの技術は、現代社会において非常に重要な役割を果たしており、私たちの生活に欠かせないものとなっています。今後も、半導体や製造イオン注入機の技術革新が進み、より高度な製品が生まれることでしょう。このブログが、皆様の理解の一助となれば幸いです。
最後に、このブログを読んでくださった皆様に感謝申し上げます。今後も、様々な気になったことをお届けしますので、colorful beansのブログを引き続きよろしくお願いします。
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