コーヒーを科学的に見てみよう!成分、プロセス、濃度など

コーヒーの抽出方法

はい、colorful beansです。

今回の記事では、コーヒーを科学的な視点で解説していこうとおもいます。

コーヒーには様々な科学反応が含まれて、あの味わいや風味が形成されています。

多彩で複雑なコーヒーの世界を科学の視点で見てみるのも、楽しいものですよ。

コーヒーの抽出原理

コーヒー豆は、主に脂肪、タンパク質、糖質、カフェイン、そしてポリフェノール類などの化合物で構成されています。 抽出プロセスは、これらの化合物を水に溶かし、コーヒーの特徴的な風味や香りを引き出すまた、抽出されるカフェインの量は、水の温度や接触時間、コーヒー粉末の種類などによって異なります。

抽出の最も重要な要素は、水の温度接触時間、そして圧力です。 一般的に、ドリップコーヒーでは、水温は約92℃から86℃で、接触時間は20秒から4分程度の間で調整されます。
これは、そのコーヒーの焙煎度により異なる場合が多い為、幅をもたせた温度帯で紹介しています。
エスプレッソ抽出では、高圧でコーヒーを抽出することにより、豊かなコクやクリーミーなフォームが得られます。
フレンチプレスでは、沸騰したお湯から92度程度、接触時間は約4分の間で調整されます。

飽和水蒸気とは?

飽和水蒸気とは、水と蒸気が一定の圧力と温度で平衡状態になったもので、飽和状態にある水蒸気のことを指します。

飽和水蒸気には水滴が含まれており、湿り蒸気とも呼ばれます。飽和水蒸気は潜熱を失うと凝縮し、白い湯気になります。

飽和水蒸気は水が全て蒸発した乾き飽和蒸気と、水と共存した湿り飽和蒸気に分けられます。飽和水蒸気をさらに加熱すると、飽和温度よりも高い温度の過熱蒸気になります。

コーヒーの抽出でいうと、水と共存した湿り飽和蒸気の状態、これを蒸らしとして捉えているようですね。この状態でコーヒーの粉からコーヒーの成分、エキスを抽出し易い状態にしているということです。

過熱水蒸気とは?

過熱水蒸気とは、飽和蒸気を更に加熱して作った蒸気で、飽和温度よりも高温の蒸気のことです。
過熱水蒸気は、過熱器や超臨界圧ボイラーで作られることが多く、動力用途や洗浄、除菌、乾燥などに使用されます。過熱蒸気は熱容量が大きく、熱伝導性が高く、酸化や火災の危険が低いという特徴を持ちます。
コーヒーの抽出には直接的な関係はありませんが、焙煎段階では重要な要素のひとつになります。
ここでは詳しく解説はしませんが、コーヒーにまつわる事なので記載させて頂きました。

浸透圧とは?

浸透圧とは、半透膜を挟んで液面の高さが同じ、溶媒のみの純溶媒と溶液がある時、純溶媒から溶液へ溶媒が浸透するが、溶液側に圧を加えると浸透が阻止される現象のことです。つまり、浸透圧は、半透膜を通して水分子が移動する力であり、この力によって水分子は濃度の低い方から濃度の高い方へ移動します。

浸透圧は、コーヒー豆中の溶解性化合物濃度によって変化します。例えば、コーヒー豆の中に含まれるカフェインや糖分などの溶解性化合物は、水よりも高い濃度で存在しています。水が豆に浸透すると、溶解性化合物の高い濃度が低濃度に移行することで、浸透圧の影響を受けます。

浸透圧が高い場合、水がコーヒー豆に浸透しにくくなり、抽出が遅くなる可能性があります。 一方、浸透圧が低い場合、水が豆に容易に浸透し、抽出が早くなる可能性がありますそのため、コーヒーの抽出においては、豆の砕き具合や抽出時間、水温などを調整することによって、適度な浸透圧を維持しながら、豊かな風味と抽出効率を実現することが重要です。

コーヒーに抽出にあたり、この浸透圧が最も重要といえるのではないでしょうか。
いずれの抽出手法においても作用し、核となる部分だと思います。

コーヒーの成分

カフェイン:コーヒー豆に含まれるカフェインは、水と反応して溶け出します。カフェインは、中枢神経系を刺激することで、覚醒作用を持っています。

クロロゲン酸:コーヒー豆に含まれるクロロゲン酸は、熱によって分解されて、苦味成分や香り成分を生み出します。

タンニン:ポリフェノールの一種で、苦味や渋みの原因となります。を生成するため、コーヒーの色合いにも影響を与えます。タンニンはまた、抗酸化作用を持ち、コーヒーの風味を保護する働きもあります。

アミノ酸:コーヒーの味と香りに大きく広がっています。コーヒー豆に含まれるアミノ酸は、焙煎により熱分解され、糖化反応を起こすことで、メイラード反応によって香ばしさや甘み、キャラメルのような風味が生じます。 アミノ酸はまた、酸味を中和する効果もあります。

糖質:コーヒー豆に含まれる糖質は、糖化反応によって、甘味成分や香り成分を生み出します。
以上のような化学反応が起こることで、コーヒーの味や香りが生まれます。

その他、コーヒーには、
トリガロシド:コーヒーの苦味成分で、抗酸化作用があるとされています。
ニコチン酸 :ビタミンB3の一種で、エネルギー代謝に関与する。
リボフラビン:ビタミンB2の一種で、エネルギー代謝に関与する。
ナイアシン :ビタミンB3の一種で、エネルギー代謝に関与する。
パントテン酸:ビタミンB5の一種で、エネルギー代謝に関与する。
などが含まれています。

クロロゲン酸やトリガロシドの抽出を抑制していることが、苦味の無いクリアなコーヒーと言えるかもしれませんね。

また、コーヒー豆の中には炭水化物やタンパク質が含まれており、高温で処理することによってメイラード反応が順応します。この反応によって、コーヒーの甘みや風味が生まれます。

メイラード反応とは?

メイラード反応は、糖とアミノ酸が反応して生じる化学反応の一つです。糖とアミノ酸が存在する場合、高温で反応が起こり、香ばしさや茶色い色素が生成されます。

この反応は、焼き菓子やパン、肉の焼き色、そしてコーヒーなどの加熱処理された食品の風味と色調を決定する重要な反応の一つです。反応し、コーヒーの香ばしさや甘味、キャラメルのような風味、茶色い色合いが生じます。

深煎りのコーヒーは、メイラード反応が進んで、味とカラメルのような風味が強調されます一方、浅煎りのコーヒーは、メイラード反応があまり進まないため、フルーティーな酸味や明るい風味が残ります。

メイラード反応はまた、コーヒーだけでなく焼き菓子やパンなどの加工食品においても重要です。
抽出工程より、焙煎工程での反応が、抽出工程で大きく影響し、味わいなどを決定づけているという解釈もできるかもしれませんね。

カラメル化とは?

カラメル化とは、糖類が加熱されることによって茶色く変色し、独特の香ばしさと甘みを生み出す化学反応のことです。

カラメル化は、焼き菓子やキャンディー、ソースなどの調理によく使われます。例えば、砂糖を加熱することで、茶色い紫色と甘味が引き立つキャラメルソースを作ることができます。
また、カラメル化反応は焙煎されたコーヒー豆でも起こり、コーヒーの風味や香りに重要な役割を果たします。

カラメル化反応は、加熱時間や温度によって反応速度や生成物の量が異なります。高温で長時間加熱されると、より多くのカラメル色素が生成されますが、焦げたり苦くなったりすることがあります。
一方、低温で短時間加熱すると、カラメル色素が少なくなりますが、甘味や風味が残ります。

こちらも焙煎工程での化学反応ですが、結果的に抽出工程、コーヒーの味わいに大きな影響を与えています。

再現性や数値化で味わいを見えるようにしたい

これまでの解説のように、いくつもの科学反応によりコーヒーが出来上がってきます。
その為、コーヒーの味わいの再現性は非常に難しく、焙煎士やバリスタの一番の悩みと言っても過言ではないと感じます。

そんなコーヒーの味わいを数値化し、見えるように、再現性を少しでも高める為に用いられる方法として、測定器を活用するバリスタ、店舗さんも増えてきています。

それが、TDS(Total Dissolved Solids)とBrixを測定するということです。

TDS(Total Dissolved Solids)

TDSとは「Total Dissolved Solids(全溶解性固形分)」の略称で、コーヒー抽出液中に含まれる溶解性のある成分の総量を表す指標です。
TDSは、コーヒーの味や口当たり、濃度に関わる指標です。重要な要素であり、コーヒーの品質を評価する上でも重要な指標の一つです。

TDSは、コーヒーの抽出過程でコーヒー豆から抽出される成分のほか、水質や抽出温度、抽出時間などの重要性によっても変化します。 一般的に、TDSの値は、ドリップコーヒーで1.15%から1.5 %程度、エスプレッソで8%から12%程度とされています。

TDSを測定する方法には、専用のTDSメーターやリフラクトメーターを使用する方法があります。
また、TDSの測定結果は、コーヒーの抽出条件の最適化や、コーヒーの品質管理に役立ちます。

Brix(ブリックス)

Brixは、溶液中の糖分の濃度を表す単位で、コーヒーの甘味度を測定するために使用されます。 Brixの単位は、重量パーセント(wt%)または何パーセント(mass%)で表され、溶液中の糖分の質量が溶液全体の質量に占める割合を示します。

一般的に、コーヒーのBrix値は0.6%から1.5%程度で、コーヒーの甘味度と界面に関連しています。ただし、Brix値はコーヒーの抽出に影響する要素の一つであり、抽出時間や抽出温度、コーヒー豆の焙煎度などによって異なる場合があります。

Brix値を測定するには、Brix測定器やリフラクトメーターを使用します。これらの測定器は、コーヒーを水で薄めた溶液を使用し、光の屈折率を測定することでBrix値を算出します。また、Brix値はコーヒーの品質管理や抽出の最適化に役立ちます。

後書き

今回の記事は如何でしたでしょうか?
コーヒーを科学的な観点から切り込んで、解説をしてきました。
こうした様々な化学反応を得て、コーヒーは形成され、一杯のカップとなって皆様の前に提供されています。

こうした科学反応の中で、焙煎士やバリスタが日々の訓練や確認・調整・研究によって、
同じ味わいになるはずのない一杯のコーヒーを限りなく同じになるよう、そう感じてもらえるように努力を重ねているのです。

なので、昨日の味と少し違うなんてことがあっても、少し大らかな心でコーヒーを楽しんでもらいたいと願います。

これからの皆様のコーヒータイムに新たな1色が加わりますように!

では。

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